第2節強 迫
強迫による契約

?問題 脅されて意思表示をしたAは、契約を守らなければならないのだろうか。

結論 強迫による意思表示は、取り消すことができる(96条1項)。



第三者との関係

?問題 Bが脅し取った土地を善意・無過失のCに売却した場合、AはCに取消しを対抗できるだろうか。

結論 強迫による取消しは、善意・無過失の第三者にも対抗できる(96条3項反対解釈)*1

補足説明

*1詐欺の場合、だまされた人にも多少の落ち度があるケースが多い。一方、強迫の場合は、脅された人には落ち度がないことが多い。そこで民法は、だまされた人よりも脅された人をより手厚く守るため、このような差異を設けたのである。

補足説明

*1詐欺の場合、だまされた人にも多少の落ち度があるケースが多い。一方、強迫の場合は、脅された人には落ち度がないことが多い。そこで民法は、だまされた人よりも脅された人をより手厚く守るため、このような差異を設けたのである。

第三者による強迫

?問題 第三者CがAを脅した場合、AはBとの契約を取り消すことができるだろうか。

結論 第三者による強迫は、相手方が善意・無過失であっても常に取り消すことができる(96条2項反対解釈)

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詐欺による意思表示は取り消すことによって初めから無効であったとみなされるのに対し、強迫による意思表示は取り消すまでもなく無効である。(24-1③)

▶︎ 解答はクリック

答え:×
強迫による意思表示は取り消すことができる。したがって、詐欺と同様、強迫による意思表示も、取り消すことによって初めから無効であったとみなされるのであって、取り消すまでもなく無効となるわけではない。

過去問にチャレンジ!

A所有の甲土地につき、AとBとの間で売買契約が締結された。BがEに甲土地を転売した後に、AがBの強迫を理由にAB間の売買契約を取り消した場合には、EがBによる強迫につき知らなかったときであっても、AはEから甲土地を取り戻すことができる。(11-1④)

▶︎ 解答はクリック

答え:〇
強迫による取消しは、善意無過失の第三者にも対抗できる。したがって、第三者EがBによる強迫を知らなかったときであっても、AはEから甲土地を取り戻すことができる。

過去問にチャレンジ!

A所有の甲土地についてのAB間の売買契約において、Aが第三者Cの強迫によりBとの間で売買契約を締結した場合、Bがその強迫の事実を知っていたか否かにかかわらず、AはAB間の売買契約に関する意思表示を取り消すことができる。(07-1③)

▶︎ 解答はクリック

答え:〇
第三者による強迫は、相手方が善意無過失の場合でも取り消すことができる。したがって、相手方Bが第三者Cの強迫の事実を知っていたか否かにかかわらず、AはAB間の売買契約に関する意思表示を取り消すことができる。